Djibouti (ジプチ共和国)


ジブチ共和国、通称ジブチは、アフリカ北東部に位置する共和制国家。首都はジプチ市。。
フランス語とアラビア語が公用語であるが、現地住民の間においてはソマリ語とアファル語が、それぞれ広く使われている。ジブチは、5つの州と1つの市に分かれている。そして、さらに15の地区に区分される。

ジブチ市、アリ・サビエ州、アルタ州、ディキル州、オボック州、タジュラ州、主要な都市はジブチ市(首都)、アリ・サビエ、タジュラがある。ジブチ市は総人口90万人の国家で52万人(2014年)の人口を抱え、国内では突出した大都市となっている。

構成民族は、ソマリ人系のイッサ人が60%、エチオピア系のアファル人が35%であり、フランス人、アラブ人、イタリア人やアファル人以外のエチオピアの民族など、その他が5%となっている。人口の94%がムスリム(イスラム教)、6%がキリスト教となっている。男性の平均寿命は45.4歳、女性の平均寿命は48.45歳と低くが、中南部アフリカでは平均的な平均寿命となっている。

国名:正式名称はフランス語で、République de Djibouti(レピュブリク・ドゥ・ヂブティ)。通称、Djibouti(ヂブティ)。アラビア語で、جمهورية جيبوتي(jumhūrīyat jībūtī; ジュムフーリーヤ・ジーブーティー)。公式の英語表記は、Republic of Djibouti(リパブリック・オヴ・ヂブーティ)。通称、Djibouti(ヂブーティ)。国名は、「ダウ船は着いたのか」という意味。ジブチの主要港、ジブチ港には、アラビアのダウ船の出入りが多かったことからこの名前が付けられた。


アッサル湖近くを行くラクダの列。湖で採れる塩は古代から貴重な資源である。狭義のアフリカ大地溝帯の北端に位置する。アデン湾に望み、海沿いは平野が広がり、西部には高原が広がる。最高地点は北部のエリトリアおよびエチオピアとの国境三重会合点に位置するムーサ・アリ山 (標高2028m) である。最低地点はアッサル湖の標高マイナス170mで、アフリカで最も低い。面積は23200平方キロメートルで、本州の10分の1ほどの面積。国土の全域が乾燥帯気候であり、沿岸部や内陸低地は砂漠気候、山岳地帯はステップ気候となっている。年間降水量は130mm程度しかないが、一方で特に沿岸部において湿度は非常に高くなっている 

国土のかなりの部分は岩石砂漠であるが、中央部には大バラ砂漠と呼ばれる土砂漠が存在する。地表の流水はほぼ存在せず、植生は基本的にワジの周辺やわずかなオアシスなどに限られるが、タジュラ市の北の標高1,500mほどの地帯にはダイの森(Forêt de Day)と呼ばれる森林地帯が、タジュラ湾沿いの海岸にはマングローブ林が存在する。1991年11月から東京農業大学がジブチ農業省と共にジブチ国内で砂漠緑化事業を行っていた。塩湖としては国土中央部のアッサル湖のほかに、国土の西南端にはアッベ湖が存在する。周辺のアファル人はキャラバンを組んでこれらの塩湖から採取される塩を交易し、貴重な現金収入を得ていた。

貿易:ジブチは、ジブチ港の貿易とジブチ・エチオピア鉄道の収益に依存する典型的な中継貿易国家である。ジブチ港はエチオピアの海上貿易のほとんどを担っている。かつてエリトリアがエチオピア領だった時代は同国内のアッサブ港が貿易港として開発されたためジブチの重要性はやや減じていたが、それでも1991年の時点でエチオピアの輸出の50%、輸入の25%はジブチを経由していた。さらに1998年に勃発したエチオピア・エリトリア国境紛争によって両国の国交は断絶し、再びジブチ港の重要性は高まった。エチオピア貿易以外でも、紅海の入り口に存在する要衝であるため港湾サービスの需要は大きい。長年自由港として機能しており、2006年以降は湾岸諸国や中国からの多額の投資が流入した。2010年代に入ってから中国の経済的進出が著しく、2016年には老朽化が進んでいたジブチ・エチオピア鉄道が電化の上アディスアベバ・ジブチ鉄道として開業し、2018年にはアフリカ最大の自由貿易区であるジブチ国際自由貿易区(英語版)が一部完成した。

軍事基地:その他、建国以前からフランス軍が大規模な基地を置いており、この駐留による利益も経済の大きな部分を占めている。要衝にあり、インフラがある程度整っている上に政治的にも周辺諸国に比べれば比較的安定しているために、周辺で国際的な軍事介入が必要となった場合や邦人脱出の拠点として使用されることが多く、1991年の湾岸戦争や1992年-1995年の国連ソマリア活動などでは輸送拠点となった。ソマリア沖の海賊が活発化すると、フランス以外の国家も続々とジブチに基地を設け、その利用料収入もジブチ経済にとって重要なものとなった。

その他産業:第一次産業の従事者は多いものの、自然環境の厳しさなどの要因から、農業は未発達で食料自給率は極めて低い。農業人口は約12万人、国民の25%程を占めるものの、可耕地面積は国土の0.5%に当たる100,60ヘクタールほどであり、食料自給率も約3%しかない[31]。鉱業はほぼ存在せず、わずかにアッサル湖などの塩湖やタジュラ湾で生産される塩と、わずかな石灰が存在するのみである。2013年度の輸出は1.2億ドル、輸入は5.6億ドルであり、貿易相手国としては輸出はエチオピアが最も大きく総輸出の35%を占め、フランスの20%が続く。輸入はフランスが30%を占め、アラブ首長国連邦が18%で続く。

交通:交易立国であるジブチにおいて、ジブチ港はまさしく国の基礎であり、多額の投資が行われ整備されている。2017年にはジブチ港の10km西側に新港区であるドラレ多目的港が開港した。

大規模な港湾に比べ、陸上交通は整備が進んでいない。主要貿易相手国であるエチオピアとの間には国道と鉄道が1本ずつ走っている。主要ルートとなっている国道はジブチ市から南西に走り、ムールドで北西へと向きを変えてガラフィでエチオピアへと抜けるが、整備されたエチオピア国内の道路と異なりジブチ国内の国道は荒れた状態となっており、アディスアベバ・ジブチ間の所要時間は20時間程度となっている[35]。これに対し鉄道は、1902年に開通したジブチ・エチオピア鉄道がジブチ市からまっすぐ南西に、アリ・サビエを通ってデウェレでエチオピアへと抜けており、長らくメインの輸送ルートとなっていたものの老朽化が進んで道路輸送がメインとなっていた。これを改善するため、2016年には完全電化のアディスアベバ・ジブチ鉄道が開業し、両国首都間の所要時間は8時間にまで短縮された。航空に関しては、ジブチ市のジブチ国際空港から周辺諸国に航空便が発着しているほか、オボック空港など地方都市にいくつかの小規模な空港が存在する。

海賊問題と日中の海外基地:近年、ソマリア沖・アデン湾で急増・多発している「ソマリア沖の海賊」問題は国際社会にとって重大な脅威となっている。海賊行為の対処のための活動では、日本の自衛隊も「海賊行為の処罰及び海賊行為への対処に関する法律」に基づき、2017年2月時点でP-3C哨戒機2機と隊員約170人が派遣されている。当初は米軍、欧州連合(EU)部隊の協力を得て活動していたが、2011年7月7日、自衛隊の海外拠点がジブチ国際空港近くに開設された。自衛隊にとっては事実上初の海外基地となる。この拠点は海賊対策のほか、ジブチ軍駐屯地に出向いての兵士への道路整備重機の操作指導などアフリカ諸国との軍事交流にも使われている。警備強化のため2017年度、施設敷地は15haと3ha拡張される計画である。2015年1月18日、現地を訪問した防衛大臣・中谷元が海賊対策だけでなくテロ対策など幅広い活動が出来るように法整備を進める考えを示した。

2015年2月末には、これらの国際的な海賊対策を行う国連加盟国合同軍第151合同任務部隊の司令官として、日本人(海自)が着任する事が発表された。戦前の旧日本海軍時代を含めても日本国籍の人物が欧米諸国やアジア各国が参加する多国籍艦隊の指揮を任された事はほとんどなく、事実上史上初の日本人国際部隊司令官だといえる。かねてからセーシェルなどアフリカに軍事拠点を設けることを検討し、国のシンボルであるジブチ人民宮殿(英語版)と大統領府などを建設してジブチと強い関係を構築してきた中華人民共和国も海賊対策(中華人民共和国のソマリア沖海賊対策)やアフリカにおけるPKOの補給・休息を理由として、ジブチに中国人民解放軍初の海外基地を開設した。このジブチ保障基地開設を宣言した2017年7月11日に、駐留部隊を載せた揚陸艦「井崗山」と半潜水艇「東海島」の2隻が広東省湛江を出港。8月1日にジブチ国防相らを招いて進駐式を開いた。中国の基地は約36haと自衛隊より広く、高さ10m程度の塀や監視塔で防備されている[46]。基地に隣接するドラレ港では中国企業が開発に携わっており、同港の親会社の株式は招商局集団が所有することから隣接する基地と同様の中国の対アフリカ戦略を担ってるとする見方もある。

日本との関係

  • 在留日本人数 – 27人(2020年10月現在)
  • 在日ジブチ人数 – 13人(2020年6月現在)(在ジブチ自衛隊 駐留部隊は除く)

日本ジブチ地位協定という協定を結んでいるが、自衛隊の過失犯が無罪になるなど日本が圧倒的に有利、自衛隊基地内にはジブチ政府が一切関与できないなどと不平等条約であると非難される事がある。

教育:2003年の推計によれば、15歳以上の国民の識字率は67.9%(男性:78%、女性:58.4%)である。2007年の教育支出はGDPの8.4%だった。2007年のジブチの就学率は男性が29.0パーセント、女性が21.9パーセントと世界的に見ても低い水準である。2016年の就学率は男女とも約80%である。教育制度は小学校5年・中学校4年・高校が3年または4年・大学が4年であり、義務教育は小学・中学校の9年間である。また、高等教育機関は近年まで存在していなかったが、2006年にジブチ大学が開学した。国内情勢は比較的安定していると言われてる。


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